表題作の主人公は仙台のFM局を離れ群馬のFM局でラジオ番組をやることになった女性DJ。不細工で、自分の周りに壁を作っているタイプの人間です。でもラジオでは明るくしゃべれる。彼女がラジオを通じてほんの少しだけ世界に対して心を開く過程が描かれているのですが、嘘くささがない抑制されたエピソードの出し入れと、それでいてエピソードに依存していない人物描写のせいで、ものすごく物語に吸引されながら読み進めること間違いなし。ほんと、どれだけうまければ気が済むんだ、絲山さん。
短編の方は、同姓同名の人と友人になり、自転車に乗れるようになって男を振る女の人の話。この地味なようでずいぶんと変わった、変わってるようでずいぶんと地味なストーリーを、不自然さ全くなしの筆力で書ききってしかも読者に感銘を覚えさせるなんて、すごすぎます。やっぱりね、エピソードに依存しない力のある作家は強いのですよ、はい。
ということで、どちらもとてもいい小説。とてもオススメ。
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