2009年05月21日

『瀬名秀明 ロボット論集』

瀬名秀明さんの『瀬名秀明 ロボット論集』を読む。法月綸太郎さんとの対談が目当てで読んだので「もじにいりびたる」カテゴリでもよかったんですが、一点だけ気になったことがあったので「かんがえをかんがえる」カテゴリで。

その一点とは、人間とロボットの関係を男女の関係と重ね合わせて論じることについて。人間が男でロボットが女、みたいな粗雑なことはもちろん瀬名さんは言わないのですが、しかし不気味の谷現象についての瀬名さんの考察はどうにも解せない。瀬名さんの反論は、「人間とロボットという異なるカテゴリのものを直線上に並べるから谷があるように見えるのだ」というものなのですが、このことを噛み砕くために男女を持ち出すんですね。本文中だとp.126ですが、ネット上で同趣旨のものを示すと例えばこんな風に。でもさ、男と女は(このグラフのように二極モデル的にであるかはともかく)シームレスにつながっているでしょう。瀬名さんの詳しいはずの生命科学でこそ、このつながりは明らかになっているはず。とするとこの説明の仕方は政治的にも自然科学的にもまずいのではないか。

瀬名さん自身が引いているダナ・ハラウェイなどのように、上手にやればロボットとジェンダーの組み合わせはそれ自体面白い論題だと思うんだけど、どうもまだ瀬名さんには積極的にそこに踏み込むだけの知識がないみたい(あえて強く言ってみますが)。もったいないなあ。

結構批判っぽく言ってしまったのですが、この本全体はすごく面白いのでオススメです。僕は大森荘蔵の「吹き込み」論とかへの言及にすごく惹かれるのですが、自然科学や工学の人はそちらの分野のところに惹かれるのだろうなあ。そういう風に文/理どちらの人にも訴えかける書き方ができるのは、やっぱり日本では瀬名さんだけだと思う。えいやっと書いちゃいますが、茂木健一郎氏よりも瀬名秀明氏がもっといっぱいテレビとかに出ればいいのに(笑)。

posted by △ at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) | かんがえをかんがえる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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