2009年05月24日

『和算で数に強くなる』

高橋誠さんの『和算で数に強くなる』を読む。

タイトルからはあまり想像がつかないんですが、これはいわゆる「伝統の創造」論を和算を題材に書いたものといえると思います。中学受験対策とかでやたら習わされる(って僕は中学受験はしたことがないので伝聞ですが)植木算とか鶴亀算とかってありますよね。あれら和算の問題は全部江戸時代には存在したと思われがちなんですが、実はそうではない。これらの和算のうち、江戸時代にあったもの、実は江戸時代にはなかったものを、実際の資料に当たり、さらに江戸の数量観をつぶさに調べながら腑分けしていく作業がなされていきます。一切合切が明治以降に産まれた、というのではなく、これは江戸にあったけどあれはなかった、という風に結論づけるところがむしろ誠実。その線引きが江戸の数量観と重なるんだから、信憑性も増すというものです。

資料の絶対量が本当にこの結論を導くに足る厚みを持っているかとか、そういう数学史の分野での議論は僕にはわかりません。でも読んでいて面白いなあと思ったのは確かです。和算を扱っているのに「日本ってすばらしい!」イデオロギーに話を回収しない冷静さも僕は好きだな。ひさしぶりに面白い新書を読みました。オススメ。

posted by △ at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | かんがえをかんがえる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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