2009年09月20日

『無伴奏チェロ組曲』

鈴木秀美さんの『無伴奏チェロ組曲』を読む。

チェロ奏者である鈴木さんが、バッハの無伴奏チェロ組曲全6曲を校訂した楽譜と、全曲の詳細な解説を語り下ろした企画を文字化したものを収録した、2冊セットの書籍。分売不可で9500円!これを収蔵してくれた図書館に感謝します(笑)。

さて、この詳細な解説が本当に素晴らしい。鈴木さんの全編を通して指摘しているポイントは3つ。第一に、重音のない「単旋律」も、複数の声部が絡み合う対位法のように設計すること、第二に、旋律がどのような和声構造の中で運動しているのかを把握すること、第三に、和声構造を踏まえてベースラインを想定しながら演奏すること。

第一の点に関しては、かなり単純に単旋律に見える所でも複数の旋律を読み取ることで、第二の点に関しては、あえてやや複雑な和声を読み込んでみることで、音楽が停滞せずに立体的に運動しだすよう鈴木さんは意識しています。そして第三のポイント。バイオリンの曲ならともかく、チェロの下にベースラインを設定するとは…そのおかげで音がもっさりしなくなる効果がありそう。

僕は弦楽器を弾けないのでボーイングに関する言及はあまり深く理解できなかったのですが、そのほかの点はバロック時代の曲を演奏するために応用できそう。読了後全曲をマイスキーの演奏で聴いてみたのですが、僕自身の聴き方にも変化がありましたね。ずいぶん立体的に音楽を把握できるようになりました。

楽典の知識が必要なので、誰にでも薦められるわけではありませんが、チェロを弾く人に限らず読んでほしい本です。オススメ。
posted by △ at 14:05| Comment(0) | TrackBack(0) | みみをすます | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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