いわゆるクラシック音楽から、20世紀の現代音楽がどのように離れて行ったのかを、素材、構造、形式の主に三つの側面から実例を挙げつつ論じた本です。素材は分かりやすいでしょうか。音高(下位分類として音階とか微分音とか)、音価、音色、強度ですね。ま、十二音技法からトータルセリアリズムへの流れです。構造は、いわゆる「ソナタ形式」とか「ポリフォニー」とかそういう、音楽の骨格をなすカタチのことですね。点描とか群作法とか、「再現部」の拒否とか。
で、この本で言う「構造」って、僕らが通常言うところの「形式」ですよね。でもこの本では、形式には別の意味が与えられています。聴取者が「あ、この音楽ってこういうもんなんだ」とわかる、その分かり方の枠組みの方に形式という言葉を当てているのです(カントが引用されてます)。著者は、構造と形式を分けてその両方を論じることで、現代音楽の聴き方がわからない聴衆を置いて行かない、という決意表明をしているようにも見えます。ただ、この本自体はかなり歯ごたえがあって、当の現代音楽以上に読者を置いて行ってる気もしますが(笑)。
ということで、楽理好きにはたまらない本でした。シュトックハウゼンを非常に強く推す記述が多く、全体としてシュトックハウゼンには辟易、という評価が下されがちな現代からすると苦笑を禁じ得ないところが驚きだったのですが、原著刊行が1977年、訳書刊行が1988年とわかり納得。時代のスターだったわけね、シュトックハウゼン。
オススメなんですが、絶版本なので…図書館を探してみてください。
【みみをすますの最新記事】

