2009年12月10日

『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』

白石美雪さんの『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』を読む。白石さん、初の単著でしょうか。読者があまりにも待たされた、待望の仕事ですね。

とかく「不確定性」というそれ自体ずいぶんと不確定なタームによって語られるジョン・ケージ。ジョン・ケージはなぜそのような音楽を書かなければならなかったのか。この謎に、偶然性を作品に導入する転回点付近の1940年代後半から1960年代半ばに照準を合わせながら答えていくのが本書です。

「不確定性」「偶然性」の導入という大きなジャンプの物語を、伝記的な要素から音楽内の要素までのさまざまな論拠を挙げながら、一つ一つの小さなジャンプの連続体として描き直していくさまは圧巻。もちろん、この小さなジャンプも、私たちから一般人から見れば大きなジャンプで、その面白さが十分に伝わってくるのも白石さんの緻密な考察のおかげ。

もう一つ面白いのは、ケージという題材が選ばれることによって、鳴り響く音楽そのものと音楽を語る言葉との問題が焦点化されていること。主観を折り込んだ非アカデミズム的文体の選択は、この題材からすれば必然かも。ただし、音楽社会学にシンパシーを感じる音楽愛好者としてはこの点に関しては思うところがありすぎて最終的な評価は下せず。

いずれにせよ、この著作が白石ファンを(ということはほぼすなわち現代音楽ファンを)熱くさせることは間違いありません。読むべし、読むべし。オススメです。
posted by △ at 09:48| Comment(0) | TrackBack(0) | みみをすます | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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