この作品で重要な役割を果たす「五嶽真形図」を追い求めるのが千里たち、そのパーティのメンツが実に個性的。「吐蕃」の狩人バソン、殺生を嫌う坊主絶海、泰然とした道士趙帰真がそのメンバーです。この4人の間には中心/周縁、あるいは殺生/不殺生など、安易には相いれない主張の対立があり、作品全体としても、安易に「敵」を立てないストーリーが徹底して選択されています。要は、人物が「駒」にならないように仁木さんはがんばってるわけです。
こういう点に共感をもって読み進めた結果としての感想は、「ああ、この作品はRPGを小説にするという課題に対するもっとも洗練された解答の一つなのだな」ということ。もちろんこの作品に元ネタとしてのゲームはないのですが、多分RPGの楽しさってこういうところにあるんだろうな、という面白みが随所にみられる。リーダビリティの高さもこの印象に一役買っていると思う。
「やっぱり男の子が主人公か」という一抹のがっかり感もなくはないのですが、しかしやはりこの爽快な面白さは仁木作品の評価されるべき特質かも。シリーズ続編にも期待です。オススメ。
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