2010年03月05日

Point de Vue vol.4〜ケフェウス五重奏団、アンサンブルPVDを迎えて〜

Point de Vue vol.4〜ケフェウス五重奏団、アンサンブルPVDを迎えて〜に行ってきました。

日時:2月26日(金) 18:30開場 19:00開演
 ■ 場所:府中の森芸術劇場ウィーンホール
 ■ 企画・構成:森山智宏/鈴木輝昭
 ■ プログラム
  築田佳奈/HALO 〜フルート、クラリネット、パーカション、コントラバスのための[新作初演]
  加藤真一郎/クラリネットとマリンバのための新作[初演]
  池田哲美/漆黒のクオリア[2007年]

  〈休憩〉

  川島素晴/5人の奏者のための「ソナタとエキシビション」[新作初演]
  森山智宏/Night Passage II[新作初演]
  鈴木輝昭/プレアデス エミッション 〜5人の奏者のための〜[1997年]

  以上演奏:ケフェウス五重奏団……遠藤佳奈子(Flute)、堤奈津子(Clarinet)、篠崎陽子(Marimba)、長屋綾乃(Percussion)、田中洸太郎(Contrabass)

  〈休憩〉

 −招待作品− 
  三善 晃/TORSE U[1962年]
  指揮:藤井宏樹 合唱:Ensemble PVD パーカッション:長屋綾乃・篠崎陽子
  ピアノ:根本英亮 電子オルガン:平井和音

冒頭の築田作品は書き込みすぎない「隙間の」多い現代音楽。HALO(太陽や月に薄い雲がかかった際にその周囲に現れる光の輪)という題材ゆえ、音数が多いのはふさわしくなく、このスタイルは必然性を持っていました。光のイメージを具現化するのに打楽器(それも金属製の)を用いないという制約によって、作曲家の書法の豊かさがあらわになっていたように思います。

加藤作品は、小さな図形をユニット化して組み立てられたようなデュオ作品。セクエンツィア=Sequence、すなわち「順序」や「継起」を表す題名からもわかるように、同一のパッセージを後ろからすぐ追いかけたりと、二人の奏者の間でかなり火花散るやりとりが行われます。マリンバの篠崎さんの反射神経のよさが曲のよさを引き出していたと思います。

池田作品は円熟の味。凝り固まらずにさまざまな技法が自由自在に紡ぎあわされ、黒という何でもなく何でもあるようなタイトルから引き出されるさまざまな像が音楽の上に次々と具現化されていきます。丁寧に書き込まれた作品であるにもかかわらず、演奏している今ここでふと偶然生まれてしまったような気さえしてくる、実に巧みな作品でした。

ここで休憩。すでに前半戦でおなかいっぱい感も。

川島作品は、4つのSonataとそれをはさむ5つのExhibitionの9つの部分からなる作品。Exhibitionでは奏者が寝転がったりあらぬ方向を向いたりしながら「ぶー」とか「ぼー」といった単一の音響イメージを奏します。要は演奏を絵画のようにパッケージしているんですね。Sonataも演劇的な要素を多分に含んだ音楽で、目にも耳にも楽しい作品でした。それにしても川島さん、「ぼよ〜ん」とか「ぐうぉん!」みたいな、こういってよければ「他愛もない」音響イメージを楽音にするのがとてもうまい。9つの部分の合間合間に暗転と奏者の移動がありやや間延びしたので、場面転換を素早く行えるようにして再演してほしいな。

森山作品は指揮者(作曲者自身)がいる作品。番号を振られたいくつかのパッセージを、指揮者の指番号の指示を受けて各奏者が勝手に演奏するという形式のものでした。「遠野遠音」形式と言えば、わかる人にはわかるかも。各パッセージが緻密で、それがずっと鳴り続けるので、耳から受ける感覚はかなり濃密でした。

鈴木作品は「うわあ、細かく計算して書いてるなあ」というのがありありとわかる実に緻密な作品。アンサンブル能力が高くないと完全にとっ散らかってしまうようなリスキーな作品ですが、管の二人、打の二人がそれぞれよく息を合わせていたので、全体としては実に構造がクリアに聴こえました。変則的な楽器編成に対して必然性すら感じさせる書法もさすが。

ここまでですでにスタートから2時間経過。だいぶ時間が押しているらしく、休憩もそこそこに三善作品へ。

長7度や短9度を駆使した旋律線、アンサンブル楽器群と繊細かつ大胆な書法と、昔の三善作品が持っている匂い立つような鋭さが、藤井さんの実にエネルギッシュな指揮によってよく引き出されていました。決して長い作品ではないのですが、聴いたあとは完全におなかいっぱいに。

これほど濃密で盛りだくさんの演奏会は久しぶりでした。すべて現代音楽ってところも素晴らしい。こういう演奏会なら何度でも行きたいなあ。来年の演奏会が楽しみ。
posted by △ at 14:56| Comment(0) | TrackBack(0) | みみをすます | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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