2010年10月28日

『寝ても覚めても』

柴崎友香さんの『寝ても覚めても』を読む。

消えた恋人とそっくりの人物があなたの目の前に現れたら、あなたはその人に恋をするでしょうか?この、綺麗事を答えようと思えばいくらでも応えられるようなテーマに、小説の形で決定的な答えを柴崎さんが与えてくれました。ただし、この回答、模範解答からは程遠いです。

しかし柴崎さんの文体はすごい。眼前に起こる事を淡々と描写するだけで、すごく小説になっている。小説を読むこととはストーリーを読むことだと思っている読者の人は、柴崎さんの小説は全く受け付けないかもしれません。でも、小説を読むことが描写を読むことだとわかっている人は、柴崎さんがいかに優れた書き手であるかがわかるはずです。今、自分の作り上げた小説に対してこれほど巧みシャッターを切れる小説家は他にいません。柴崎さん、恐るべし。

非常に強い印象を残すラストにも注目です。この小説を受け渡されてしまって、読者は平常心でいられるのか。ぜひ、打ちのめされてください。強く強くオススメです。
posted by △ at 23:27| Comment(1) | TrackBack(1) | もじにいりびたる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
出だしの大阪のビル27階の展望台の光景から、麦(東京人)との出会いに至る7ページを読むだけで、この小説がどのように進んで行くのか、期待が膨らんでわくわくしてしまいました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Posted by 藍色 at 2011年04月23日 02:58
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/167520635

この記事へのトラックバック

「寝ても覚めても」柴崎友香
Excerpt: 人は、人のどこに恋をするんだろう?消えた恋人・麦を忘れられない朝子。ある日、麦に顔がそっくりな人が現れて、彼女は恋に落ちるが…朝子22歳から31歳までの“10年の恋”を描き、朝日新聞、読売新聞、毎....
Weblog: 粋な提案
Tracked: 2011-04-23 02:56