消えた恋人とそっくりの人物があなたの目の前に現れたら、あなたはその人に恋をするでしょうか?この、綺麗事を答えようと思えばいくらでも応えられるようなテーマに、小説の形で決定的な答えを柴崎さんが与えてくれました。ただし、この回答、模範解答からは程遠いです。
しかし柴崎さんの文体はすごい。眼前に起こる事を淡々と描写するだけで、すごく小説になっている。小説を読むこととはストーリーを読むことだと思っている読者の人は、柴崎さんの小説は全く受け付けないかもしれません。でも、小説を読むことが描写を読むことだとわかっている人は、柴崎さんがいかに優れた書き手であるかがわかるはずです。今、自分の作り上げた小説に対してこれほど巧みシャッターを切れる小説家は他にいません。柴崎さん、恐るべし。
非常に強い印象を残すラストにも注目です。この小説を受け渡されてしまって、読者は平常心でいられるのか。ぜひ、打ちのめされてください。強く強くオススメです。
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