2009年06月02日

『songs of seven colors』

コンピレーションアルバム『songs of seven colors』を購入。これまたずいぶんと古いコンピアルバムなんですが、やっと購入しました。

No.9もausも、なんとI am Robot and Proudも参加しているというめちゃめちゃ豪華なアルバム。しかも未発表音源がかなり多いです。エレクトロニカってわからない、とっつきにくい、と思っている人はこの一枚を買って聴いてみればOKという大変親切かつ便利なアルバムです。あまりハードではない曲を選んであるので、万人受けするんじゃないかな。15曲60分で1980円というびっくりの価格だし。

ということで、誰にでもオススメできるアルバムです。僕もまだまだエレクトロニカ初心者ではありますが、勝手にヴェテランになったつもりで薦めておこう(苦笑)。

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『d_rradio』

d_rradio『d_rradio』を購入。えっと、最近の発売じゃないんですが、買ってしまいました。だってジャケットが綺麗だったんだもの。そしてタワレコ渋谷店のポップが「No.9とausを足したような音楽」だったんですもの(僕はNo.9もausも大好き)。

適度にグルーヴ感がありながらもアッパー過ぎない、耳なじみの非常によいエレクトロニカ。家でしっぽり聴くのもいいけれど、iPodに詰め込んで町中を歩きながら聴くのもいいかも(全体的にテンポとかがそういう感じ)。一曲目とか、なんだか聴いているとお日様の匂いを思い出すんですよね。漠然としたかつありがちな比喩で申し訳ないんですが。でもエレクトロニカでお日様の匂いって、なんかすごくよくないですか?ということでNo.9かausが好きな人はぜひお試しください。オススメ。

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2009年06月01日

『いろとりどりのうた』

『いろとりどりのうた 信長貴富 混声合唱作品集IV』を購入。全曲委嘱初演団体による演奏とのことです。いくつかは初演のライブ録音のようです。たまには珍しくそれぞれの曲に関する感想をば。

『無伴奏混声合唱のための カウボーイ・ポップ』(寺山修司 詩)
この作品、初演を聴きに行って熱狂した覚えがあって、そのころから信長さんの無伴奏混声の曲の中でもダントツ一番の名曲だと主張しているのですが、音源を聴いてみると難曲ですね。譜面を見て研究してしまったので頭の中に理想の演奏を勝手につくってしまっていて、実際の演奏を聴くとそれとはだいぶ違う。でも、この演奏の熱さに触れて、あ、こういう演奏がよいのかもと考えなおしました。

『混声合唱と2台のピアノのための 讃歌』(北岡淳子 詩)
13分にわたる単一楽章の楽曲。童声+混声+2台ピアノということで、編成的にも時間的にもかなり規模の大きい楽曲です。信長さんの選んできた詩の中でも決して長いとは言えないこの北岡さんの詩に、こんな壮大な曲を付けたのか!と正直驚きました。長い曲を中だるみさせずに書く技法も卓越していて、編成と時間上のハードルを越えて、いろんなところで演奏してほしい名曲だと思いましたね。まずは楽譜を出版してもらわないと。あと、演奏も大変素晴らしかったです。難易度が高い事を感じさせない熱気に感銘を受けました。

「なみだうた」(谷川俊太郎 詩)
『いろとりどりのうた』初演時のアンコールとして作曲されたものですが、CDではこちらが先に収録されています。この曲の女声版を含む組曲はすでに出版されているのですが、組曲まるごと混声に編曲しなおすのかな?

『混声合唱曲集 いろとりどりのうた』(川崎 洋 詩)
『食卓一期一会』に似て、シアターピースっぽい、短い曲をたくさん集めた曲集でした。確か合唱パートが2段譜で、難易度は低いはずです。演奏はとても素晴らしいものでした。合唱もすばらしかったのですが、特にピアノの平林知子さんの音楽の作り方は僕はとても好みだなあ。輪郭のはっきりした演奏だったので、合唱団の音楽作りにとてもいい影響を与えたんではないかと思います。

一時期は「こんなに人気があるのにどうして一般音源が少ないのか!」と批判続出(おもに批判してたのは僕です)だった信長作品の音源がこうやってたくさん市販されるようになったのはとても喜ばしいことだと思います。ただ、結構難易度高めの作品が先に音源化される傾向にあるみたいなので、もっと難易度の低い作品の音源が多数発売されるようになるといいな、と思います(『新しい歌』とか『初心のうた』とか、あの難易度の曲だけを集めたCDはあったら売れると思います)。あと、女声の作品集はまだ市販されていないはずなので、これも発売を強く希望します。

いずれにせよ、これほどのハイペースで合唱人の望むCDを発売し続けるジョヴァンニ・レコードには感謝感謝です。みなさんぜひ購入しましょう。オススメです。
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2009年05月31日

『夏がくれば思い出す』

牛山剛さんの『夏がくれば思い出す 評伝 中田喜直』を読む。

「夏の思い出」「雪の降る街を」などの有名曲で知られる作曲家中田喜直の評伝。この中田さんという人が、わかりやすい曲からは想像できないほどのエキセントリックな人間で、それゆえこの本は「故人を悼む評伝」の枠をはみ出すものになっています。牛山さんがどうがんばっていわゆる評伝的な「故人はいい人でした」物語にエピソードを収束させようとしても、これだけ中田さんが変わり者だと無理がある(笑)。題材とする人物が面白いから評伝も面白くなるという見本のような本でした。
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2009年05月11日

『リゲティ、ベリオ、ブーレーズ』

沼野雄司さんの『リゲティ、ベリオ、ブーレーズ 前衛の終焉と現代音楽のゆくえ』を読む。

20世紀を代表する「現代音楽」の作曲家3人の作風の変化を、「記譜法」「反復要素と拍節運動」「調性要素と旋律の復帰」というポイントから定点観測し、「現代音楽」を延命させるために3人の作曲家がむしろ「現代音楽」的なものから離れて行くさまを分析した本。ものすごく面白いです。博論をもとにしたものであることもあり、分析の強度が非常に高く、論旨も明確で、「音楽学かくあるべし!」と膝を打つところ多数。特に記譜法に関する章は、「音楽そのもの=実際に鳴る音」から足を踏み外しかけつつむしろそこから面白いものが見えてくるという意味で、かなり独創的かつ重要な研究なのではないか。

博論に比べて譜例が少ないのが残念なのですが(譜例が肝ですよ、やっぱり)、それでもこの本が面白いことには一切かわりありません。わあ、こういう分析、しびれるなあ。このブログの何人かの読者に猛反発をくらうのを承知で言うと、やっぱり音楽社会学より音楽学の方が僕には面白いかも。ごくごく素朴に僕が楽譜フェチなだけかもしれませんが。

そもそも3人の曲を全く聴いたことがない人も多数でしょうから薦めるのも気が引けるのですが、この本、やっぱりオススメだなあ。

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2009年05月08日

『弦楽四重奏曲第2番』

鈴木輝昭さんの『弦楽四重奏曲第2番』を購入。パート譜付きで5000円とかだったらどうしようと思っていたので、スコア(それも割と大きめで見やすい)だけで3000円を切っているのはありがたい。

実際の演奏を聴いたことがなく、今後聴く予定もないので、第一印象が肝心ということで相当気合いを入れて縦弾きしてみました。実際の演奏時間の10倍くらいの時間をかけて必死にやったら、終盤付近ではあんなに苦手だったハ音記号が思いのほか読めるようになっていた(苦笑)。

どのページを開いても完全な輝昭サウンド。それも調性感が全くない、ハードな方の輝昭サウンドです。さまざまな断片的な動機が隙間なく埋め込まれた密度の高い音楽で、一曲聴いたら明らかにどっと疲れること間違いなし。でも縦弾きするとよく計算して書かれているのがすぐわかる。やっぱすごいわ、輝昭さん。

きっと割と流しめで書いたのだと思うのですが、個人的には256-7小節の音が好きです(細かくてすみません)。素直な5度の積み重ね、素敵です。

ま、この楽譜をオススメはできないわなあ(苦笑)。ということで音楽之友社の英断に拍手して終わります。はやく「みみをすます」のスコアを出版してください(切実)。

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2009年05月03日

『楽譜がスラスラ読める音楽記号事典』

多田鏡子さん著、川島素晴さん監修の『楽譜がスラスラ読める音楽記号事典』を読む。

えっと、川島さん監修だからどんな奇天烈な事典かとワクワクしながら読んでみたのですが、いや、普通の音楽事典です(笑)。譜例が多く、説明も簡潔で、その割には結構網羅的で、よい事典だな、と思ったわけです(多田さんという方がずいぶんがんばったのではないか)。

ただ、です。この本に付属しているCDにははっきりと文句を言いたい。坂元一孝さんという芸大出の方がピアノを弾いてます。坂元さんのオリジナル曲があったりして、それは面白いんですが、別のところに問題がある。書籍の中の譜例を実際に演奏したものが収録されていることになってるんですが、譜例と異なる箇所が多すぎる。小節の数、コードネームなど、音楽の初心者の方が聴いていると混乱するくらいの基礎的なレベルでの差異が多すぎて、なんのための付属CDなんだかわからない。そりゃあ音楽用語を知ってる人なら混乱しないけど、そういう人対象の本ではないし。

ということで、再版の折りにはCDと書籍の整合性をもう少し考えていただければなあ、と最後に述べて、感想とさせていただきます。

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2009年04月27日

『饗宴の歌 信長貴富 男声合唱作品集』

『饗宴の歌 信長貴富 男声合唱作品集』を購入。曲目はリンク先をどうぞ。

「ラグビィ」、僕は「サッカーによせて」みたいなアンコールピースを勝手に想像していたんですが、かなり音数が多くて現代音楽的な難しい曲でした。でも演奏が大変すばらしいおかげで全体像が崩壊していないので、耳に不快ということはないです。

「新しい歌」のピアノ2台版。ピアノパートも、1台版の骨格に無駄なものを足さない形になっているので、この組曲の持っているわかりやすさが崩れていません。ピアノの弦や箱に共鳴するので、多分舞台で実演を聴いたらCD以上にかなりの支えになって映えるんじゃないでしょうか。出版は…されないかな、どうかな。

「初心のうた」は難易度も高くなく(「新しい歌」よりよほど低いと思う)、信長さんの作品の中でもかなりの人気作なので、男声版の音源が発売されたことを素直に喜びたい。

そしてメイン、「饗宴の歌」です。もはや合唱界では有名になった金関寿夫さん訳詩のネイティヴアメリカンの詩を題材にしたものです。タイトルからすると、祝祭的なイメージの曲を思い浮かべるかと思いますが、とんでもない。「東洋民謡集」も真っ青の攻めの曲ばかりが並びます。普通の長/短三和音で作られた箇所なんて数えるほどしかないんではないのか。こういう作品をこの高レベルで演奏する合唱団も賞賛に値しますが、これをメインにしてCDを作っちゃうレーベルもすごい。このチャレンジング精神に敬意を表して大宣伝させていただきたい。オススメです、ぜひとも買って欲しい。買って欲しい。買って欲しい。

来月も信長さんの作品集CDが発売されます。金欠に負けず、買います。

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2009年04月07日

『ぎらりと光るダイヤのような日』

信長貴富さんの『ぎらりと光るダイヤのような日』を購入。

茨木のり子さんの詩による女声合唱とピアノのための曲集。信長さんの作品を追いかけている人なら、この作品は要チェックです。なんせ、かなり語法が拡大されて、今まで見たことのないような音が書かれているから。ピアノパートも信長さんらしさを残しつつ、意外な新しさを見せます。個人的には『傘がない』という信長さんの編曲集で開発された語法が全面的に展開された、と見ています。

またそれにともなって歌の旋律線もかなり今までにない感じです。さわやかなだけじゃない、骨のある曲を歌いたい実力派の女声合唱団に歌って欲しい曲だな。

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2009年04月01日

「YELL」

「YELL」(混声)を購入。第76回(平成21年度) NHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲です。

いきものがかりの曲が好きなので、混声版だけ買ってみました。いかにも「混三」!って感じの音の積み重ね方で、中学生は歌い甲斐があるだろうなあ。アルトに上のFがあるのはきついなあ、と思ったら、アルトではなくて「女声2」でした。なるほどね。

さあ、全国の中学生たちがこの夏、どんな「YELL」を聴かせてくれるか、楽しみです(ってNHKの回し者みたいですが)。

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『雅歌1-4』

『雅歌1-4』を購入。西村朗さんが1987年にヘテロフォニーの技法を拡大するために連作した四部作の楽譜が一冊で出版です。しかもなんと近年の演奏会のライブ録音CD付き!これは買わないと!ということで、出版社の策略にまんまとだまされて購入(笑)。

さて、曲ですが、習作というわけではないにせよ、一つの技法を突き詰めて展開する構成の曲ばかりのため、ドラマティック!という感じはみじんもありません。むしろじーっと一つの音響を体験する、といった感じに近い。僕なりにあえて表現してしまえば、「瞑想修行の音楽」(苦笑)。じっくり腰を落ち着けて聴いてください。

ちなみにCD音源の中の尺八奏者は藤原道山さん。藤原さん、芸大卒だけあって現代音楽も守備範囲内なのか…感嘆。

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『星めぐりの歌 〜宮沢賢治の世界〜』

CD『星めぐりの歌 〜宮沢賢治の世界〜』を購入。当間修一さん率いる大阪コレギウム・ムジクムが行った宮沢賢治をテーマにしたコンサートの、千原英喜作品以外の作品のライヴテイクを収録したCD。リンク先の安定性が不安なので、ここに情報を貼付け。

◆◆『星めぐりの歌 〜宮沢賢治の世界〜』◆◆
  指揮:当間修一
  合唱:大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団
  管弦楽:シンフォニア・コレギウムOSAKA
  ピアノ:木下亜子
  ヴァイオリン:森田玲子
  チェロ:大木愛一
  曲目:
   田三郎/混声合唱組曲「心象スケッチ」より「水汲み」
   鈴木輝昭/童声(女声)合唱とピアノのための「イーハトーヴ組曲」より
         「星めぐりの歌」「ポラーノの広場」
   鈴木輝昭/混声合唱のための組曲「原体剣舞連」より「原体剣舞連」
   木下牧子/混声合唱と管弦楽のための「原体剣舞連」
   林  光/「ポラーノの広場」
        「祈り」
        「冬と銀河ステーション」
        「海だべがど」
        「鳥のように栗鼠のように」
        「星めぐりの歌」
  品番:OCM-SC01

鈴木作品、木下作品がお目当て。鈴木作品の女声曲の方は、出雲一中のCDがあるので参考程度に。混声曲は多分市販音源では(コンクール音源を除いては)初収録だと思うんですが、細かい和音をきちんとはめてくれているのですごくよかった。が、この曲を誰もが好きになるかというと微妙。そういう意味でも「テルアキサウンド」な作品でした。僕はもちろん好きですが(笑)。

さて、誰にもオススメできるのが木下作品。難解になりすぎないのにまったく独特の味わいのする作品に仕上がっています。室内オケの扱いも絶妙。エロティシズムさえ感じてしまう妖しげな音楽は、これを機に有名になって欲しい(もちろんこの作品も初市販化)。まずは、「虚無の未来へ」「四万十川」「鴎」そして今回の「原体剣舞連」のスコアを高くてもオンデマンド出版でもいいから市販してもらわないと(苦笑)。オケ付き合唱曲の裾野をぜひとも木下さんに広げて欲しい。

高田作品、林作品は耳なじみがよいです。特に「星めぐりの歌」は絶品!

ということで、コアな合唱ファンから合唱に興味を最近持ちはじめた人まで、いろんな人にとって魅力的なCDだと思います。オススメ。

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2009年03月29日

『新 名曲が語る音楽史』

田村和紀夫さんの『アナリーゼで解き明かす 新 名曲が語る音楽史 グレゴリオ聖歌からポピュラー音楽まで
を読む。いや、これは名著です。強くオススメ。

あまたある西洋音楽史本の中でどうしてこの本が優れているのか。それはまず第一に、音楽外の要因を語ることで音楽史を語るのではなく、音楽の「中身」である和声や形式の変化の水準で音楽史を語ろうとしていること。第二に、このもくろみを達成するために、網羅的な「有名曲リスト」のような体裁をあえて放棄して、えりすぐられた名曲のアナリーゼ(楽曲分析)をきちんと行っていること。

結果として、この本は、音楽史上の出来事の列挙でなく、この音楽がなぜこのような音楽へ推移していったのか、をまさに音の水準で解き明かすことに成功している。しかも付け加えると、「シンフォニーとソナタの誕生」といった章は音楽社会学的な分析も取り込んでいる。

グレゴリオ聖歌から十二音技法、ポピュラー音楽までというかなり長いスパンを対象にしているにもかかわらず一冊の本の中におさめてしまうすばらしい要訳力によって、通読しても一部分だけ取り出して読んでも面白い読み物になっています。

もはやこれは西洋音楽史の教科書の決定版でしょう。何度でも読み返す価値があります。面白い。
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2009年03月24日

『くちびるに歌を 信長貴富 混声合唱作品集III』

『くちびるに歌を 信長貴富 混声合唱作品集III』を購入。

『ねがいごと』『廃墟から』『くちびるに歌を』という信長さんの近年の混声合唱作品の中でも難易度の高いものを、それぞれの初演団体によるライブ録音で収録した待望の作品集。はじめに言っておきますが、オススメです。

どれも耳なじみのよい和音ばかりを使った曲ではないのでハードですが(『くちびる〜』は比較的聴きやすいですが)、それを吹き飛ばしてしまうような熱気のある演奏ばかりなので引き込まれることは間違いないです。また、戦争をテーマにした曲『ねがいごと』『廃墟から』が収録されているので、最近の信長さんの「戦争」ものへの傾斜の意味を探るためにも、合唱人の人はぜひ聴いてみるとよいと思います。

個人的なベストトラックは『廃墟から』第一章「絶え間なく流れてゆく」です。細かくdiv.した声部による層的な音響(ある意味マイクロポリフォニーか?)が非常に高い演奏効果をあげています。

付け加えておくと、難易度が高いのに、歌い手のツボを押さえた泣かせるメロディーやハーモニーもちょくちょく出てきます。この辺りのさじ加減が「難しい現代音楽」に流れない信長さんの腕ですよね…感嘆。

ちなみにジョヴァンニレーベルから4月にも信長さんの作品集が発売されますので、そちらも購入したらまた記事を書きます。

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『現代音楽を読み解く88のキーワード』

ジャン=イヴ・ボスールさん著、栗原詩子さん訳の『現代音楽を読み解く88のキーワード』を読む。

現代音楽の基本キーワード88個に対し、さまざまな作曲家がどのようなことを語った文章に語らせることで説明と解説をさせようとする変わった本。辞書のように定義を書いてくれていないのでとっつきにくいですが、作曲家の生の考えがたくさん読み取れるのでキーワードに関して深い理解が得られます。

かなり難しい本なので一気に読み進められる感じではないのですが、一項目ずつじっくり読みたい本です。

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2009年03月18日

『音楽理論の基礎』

笠原潔さん、徳丸吉彦さん著の『音楽理論の基礎』を読む。なんとなく放送大学の教科書を読んでみました。

一応西洋音楽を中心におきつつ、その他の地域の音楽をも頻繁に参照しながら音楽理論の基礎について説明してくれる本。個人的にはずいぶん知らない概念が多いのにびっくりしました。やっぱり大学の教科書だな、と思ったのは、文献挙示がしっかりしていること。あと、中身もやっぱり結構難しいです。

思いつきで読んだので、感想も思いつき程度で。

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2009年03月15日

清水雅彦テノールリサイタル〜平和を祈る、グアテマラと日本から〜

清水雅彦テノールリサイタル〜平和を祈る、グアテマラと日本から〜を聴きに行く。

2009/03/15(Sun.) start 14:00
@日本大学カザルスホール

出演者
清水雅彦(T)
鈴木真理子(Pf)
中尾 幹/花音の森ティンカーベル(ハンドベル)


1)中田喜直作品2題

だからその海を見ない(詩:山下千江)
歌をください(詩:渡辺達生)

2) ホルヘ・サルミエントスの世界

LA PAZ 平和 テノールとピアノのための op.73(委嘱初演)(詩:フリオ・ファウスト・アギレラ)

五つのロマンティックな愛の歌(編曲委嘱初演)(詩:ホルヘ・サルミエントス)

〈休憩〉

4)信長貴富の世界その1

Fragments - 特攻隊戦死者の手記による -(委嘱初演)

4)ハンドベルの祈り

Song of PeaceよりDona nobis pacem
In the Beauty of Holiness(A.B.Sherman作曲)

5)信長貴富の世界その2

おぼえているかいあの春を・・・(詩:サトウハチロー)
しあわせよカタツムリにのって(編曲委嘱初演)(詩:やなせたかし)
夕焼け−ハンドベルとともに(詩:高田敏子)

アンコール
ほほえみ(川崎洋作詩、信長貴富作曲)


カザルスホール、3月末でクローズなんですね、残念。と訳知り顔でぼやきつつ、実は僕、このコンサートが初カザルスホールでした(汗)。

第1ステージの中田作品は、書法が全然古びてない!思いのほか「攻めてる」曲で、とても楽しめました。第2ステージはグアテマラの作品。どの曲もスタンダードナンバーのようでもあり、ジャジーな和音ありで、耳なじみがよかったです。今度はこの作曲家のアカペラの合唱曲も聴いてみたいな。「カリブ海のブスト」って感じの音楽だったので。

休憩ののち、信長さんの新曲。特攻隊員の手記などの断片を音楽的に組み合わせての大作でした。非常に重い作品ですが、いやこれ、すばらしかったです。繰り返される「日本男児として」という言葉に、「男らしさ」の罪を感じ取る信長さんの誠実さを感じました。第4ステージはハンドベル演奏で、第5ステージは再び信長さんの小品集。合唱の有名曲「しあわせよカタツムリにのって」の独唱版がとてもよかった。終わり方も合唱とは違うんですが、そこがとても説得的でした。これ、出版されないかなあ。

アンコールもこれまたグッとくる曲でした。これはたしか混声合唱と女声合唱のバージョンがあるので、合唱団の人は歌うといいと思う(男声合唱団の人は独唱してください、清水さんみたいに)。

日曜の午後のとても素敵な演奏会でした。

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2009年03月14日

『作曲の技法』

小鍛冶邦隆さんの『作曲の技法』を読む。

この本、作曲の教科書っぽいですが、多分全然違うタイプの理論書です。「対位法」とか「ソナタ形式」とか、作曲のため所与のルールと思われていたかずかずの「技法」を、むしろ楽曲が発生していく自己組織性を駆動させる論理として語り直して行く、そんな本です。あるいは逆に、さまざまな作曲技法を、「音楽が生み出されいく運動性」という観点から一つの用語系の中に包含していく、そんな本です。要は音楽版「オートポイエーシス論」といいますか。

だから、この本は作曲の技法を学ぶというよりも、むしろヒューリスティックな一連の概念体系として参考にするための本だと捉えたほうがいいです。多分この方法論から作曲できるのは小鍛冶さん本人しかいない(苦笑)。

でも、この本を読んで小鍛冶さんの曲が聴きたくなりました。今までに何曲か聴いたことがあるんですが、どれもおそろしく精緻なエクリチュールで書かれているんですよね。未購入だったCD、買おうかな。

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2009年03月10日

『ピアニストが見たピアニスト』

青柳いづみこさんの『ピアニストが見たピアニスト』を読む。

名演奏家6人を取り上げた評伝集。アルゲリッチは何故ソロをやめたのか、リヒテルはなぜ暗譜をやめたのか、といった魅力的な謎で読者の興味を引きつけておいて、ピアニストの生き方の立体像までとぐんぐん進んでいく文章です。しかも、書き手自身のピアニストとしての自分自慢が全くないのも心地よい。評伝ってただのエピソードの羅列になるととてもつまらないんですが、ちゃんと全体で一つのストーリーになるようにまとめる文才が青柳さんにはありますね。

う〜ん、他の本も読みたくなりました。オススメ。
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『ピアニストは指先で考える』

青柳いづみこさんの『ピアニストは指先で考える』を読む。

ドビュッシーを得意とするピアニスト、しかもドビュッシー研究で博士号を持つ学者でもある青柳さんのエッセイ集。読んでびっくり、すごく面白いです。「曲げた指」と「伸ばした指」の流派の違いなど、ピアノをかじった人なら「なるほど」と思うところがたくさん。

で、なんでおもしろいのか、その理由を考えてみました。

第一に、ピアニストとしての経験のエピソードの入れ方がうまい。演奏家の書くエッセイって、「どこそこで誰誰と演奏した時は〜」式のエピソードだけで一本エッセイを持たせてしまう類の自慢話になっていることが往々にしてあって、それが結構煙たい。でも青柳さんのは、この手の自慢話にならないよう、ちゃんと自分の経験も分析対象にして、もう一回書く前に吟味を加えている。ピアニストである書き手の立場性を隠ぺいする訳でもないから、「ピアニストがエッセイを書く」ことのうまみも消えてない。いい塩梅です。

第二に、文章がうまい。ぱっと見て思ったのは、読点の入れ方が文章を書きなれているい人のものだな、ということ。博士論文を書いている方ですから当たり前なんですが、フランクな口調を文章で再現しようとして読点だらけになる、という愚を犯していない。なるほど、こりゃエッセイストとして人気が出るわけだ。

ぜひとも青柳さんの演奏も聞いてみたいものです。あと、こういう実践かつ理論肌の人にピアノ、習いたいなあ。ということでオススメ。
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