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<title>Hora de verdad</title>
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<title>『りら荘事件』</title>
<description>鮎川哲也さんの『りら荘事件』を読む。言わずもがなの本格ミステリの歴史的傑作です。芸術の道を志す若者たちが休暇に訪れたりら荘での連続殺人事件を探偵が鮮やかに解くのですが、この連続殺人がすごい。そんなに大量に人が死ななくても…というくらい人が死にます。謎の波状攻撃。この椀飯振る舞い感は今のミステリにはないなあ（もちろんどちらがよいということはないです）。あと、クローズド・サークルものではないんですね。警察も介入するし。警察の無能さ、毒薬をなめて同定するみたいなディテールのずっこけ...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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<dc:date>2009-11-05T10:42:18+09:00</dc:date>
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鮎川哲也さんの<a href="http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488403140" target="_blank">『りら荘事件』</a>を読む。言わずもがなの本格ミステリの歴史的傑作です。<br /><br />芸術の道を志す若者たちが休暇に訪れたりら荘での連続殺人事件を探偵が鮮やかに解くのですが、この連続殺人がすごい。そんなに大量に人が死ななくても…というくらい人が死にます。謎の波状攻撃。この椀飯振る舞い感は今のミステリにはないなあ（もちろんどちらがよいということはないです）。あと、クローズド・サークルものではないんですね。警察も介入するし。<br /><br />警察の無能さ、毒薬をなめて同定するみたいなディテールのずっこけぶりなど、今から見ると不思議な部分もありますが、あの要素もこの要素も伏線だったのか！という回収の妙味が味わえます。やっぱり面白い作品だわ。<br /><a name="more"></a>

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<title>『音楽の聴き方』</title>
<description>岡田暁生さんの『音楽の聴き方』を読む。音楽なんて自由に聴けばいいというけれど、私たちは自覚できないさまざまな「型」をすでに持って音楽を聴いてしまっている。ならば、その「型」に自覚的になってみよう。そんな発想から書かれた本です。僕の見立てではこれは『まなざしのレッスン』の音楽版ですね。この際岡田さんが積極的に主張するのは「音楽は言葉にできない」なんてことを言ってないで、音楽を語る言葉を磨こう、ということ。これには僕も大賛成。具体的なエピソードを読むうちに、音楽を生き生きと語る事...</description>
<dc:subject>みみをすます</dc:subject>
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<dc:date>2009-11-02T17:02:13+09:00</dc:date>
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岡田暁生さんの<a href="http://www.chuko.co.jp/shinsho/2009/06/102009.html" target="_blank">『音楽の聴き方』</a>を読む。<br /><br />音楽なんて自由に聴けばいいというけれど、私たちは自覚できないさまざまな「型」をすでに持って音楽を聴いてしまっている。ならば、その「型」に自覚的になってみよう。そんな発想から書かれた本です。僕の見立てではこれは<a href="http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-083030-0.html" target="_blank">『まなざしのレッスン』</a>の音楽版ですね。<br /><br />この際岡田さんが積極的に主張するのは「音楽は言葉にできない」なんてことを言ってないで、音楽を語る言葉を磨こう、ということ。これには僕も大賛成。具体的なエピソードを読むうちに、音楽を生き生きと語る事の面白さがわかってきます。<br /><br />ただ、岡田さんは音楽学の人で、僕自身は音楽社会学にシンパシーを感じているせいか、ああ、完全に立場が違うんだなあ、と思う箇所もありました。例えばこんな箇所はどうでしょう。<br /><br /><blockquote>「社会」なるものの自明を疑うことがない大半の音楽社会学から、彼（引用者注：パウル・ベッカー）の見解を決定的に分かつものは、この「私たちにもはや社会はない」というラディカルな認識である。(p.182)<br /></blockquote><br /><br />趣味の多様性によって音楽受容が分断されたことをもって「社会がない」と言い得るのか。「社会がない」というわかりやすい言葉によって、むしろ「音楽」という概念が無傷のまま延命されてはいないか。ほら、同じ現象に対して全く逆の読み方もできるでしょ。こういうところが音楽学と音楽社会学の埋められない溝なんだなあ、きっと。<br /><br />しかして、聴く「型」を身につけよう、という主張にはやはり大賛成。オススメの本です。<a name="more"></a>

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<title>『仮想儀礼（上）（下）』</title>
<description>篠田節子さんの『仮想儀礼（上）（下）』を読む。上下巻だし分厚いし、読むのが大変だな、と思っていたら一気読みでした。全部読むのに5時間もかからなかったんじゃないか。全てを失った男二人が新興宗教を立ち上げて金儲けをしようと企む。当初は失敗も繰り返しながら次第に団体の規模を拡大して行くが、やがて闇を抱えた信者たちの暴走や周囲から圧力によって、男たちは転落して行く…。宗教団体が設立されるまでの最初の10ページくらいは、話があっさり進みすぎて書き込み不足では、とも思ったのですが、だんだ...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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<dc:date>2009-10-31T22:37:10+09:00</dc:date>
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篠田節子さんの<a href="http://www.shinchosha.co.jp/book/313361/" target="_blank">『仮想儀礼（上）</a><a href="http://www.shinchosha.co.jp/book/313362/" target="_blank">（下）』</a>を読む。上下巻だし分厚いし、読むのが大変だな、と思っていたら一気読みでした。全部読むのに5時間もかからなかったんじゃないか。<br /><br />全てを失った男二人が新興宗教を立ち上げて金儲けをしようと企む。当初は失敗も繰り返しながら次第に団体の規模を拡大して行くが、やがて闇を抱えた信者たちの暴走や周囲から圧力によって、男たちは転落して行く…。<br /><br />宗教団体が設立されるまでの最初の10ページくらいは、話があっさり進みすぎて書き込み不足では、とも思ったのですが、だんだんに篠田さんの術中にはまり、「この先どうなるの？」という実に正しい感覚に導かれながらどんどんページを繰る手が早くなっていくのを感じました。ジェットコースターのように話があれよあれよとあらぬ方向に進むので、気になって途中で読むのを止められない。<br /><br />下巻に入ってからのスピードがどんどん上がっていく感覚は読み物です。この予測不可能な結末はちょっとした見物です。読み終わったあと最高に陰鬱な気分になること請け合いです。<br /><br />体力と気力が充実している時に読みましょう。ハードな作品ですが、とても面白いです。オススメ。<br /><a name="more"></a>

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<title>[PR]注目のキーワード「最先端の英語学習法」</title>
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<title>『正弦曲線』</title>
<description>堀江敏幸さんの『正弦曲線』を読む。出版社のHPでは「散文集」となってますね。まあエッセイ集と言ってもよいかと思います。とにかく端正で純度の高い作品を書く堀江さんですが、エッセイはどんなものかというと…端正で純度が高い文体に、言葉遊びというほどではないですが言葉そのものを楽しみ遊び尽くす精神が加わった非常に滋味に富んだものです。だから、肩肘張らずに読めるのに、一編一編を読む毎に自分の言語感覚が浄化されて行くのがよくわかる。自分が言語を使う時に否応なくあらわになってしまう尖ったと...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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堀江敏幸さんの<a href="http://www.chuko.co.jp/tanko/2009/09/004037.html" target="_blank">『正弦曲線』</a>を読む。出版社のHPでは「散文集」となってますね。まあエッセイ集と言ってもよいかと思います。<br /><br />とにかく端正で純度の高い作品を書く堀江さんですが、エッセイはどんなものかというと…端正で純度が高い文体に、言葉遊びというほどではないですが言葉そのものを楽しみ遊び尽くす精神が加わった非常に滋味に富んだものです。だから、肩肘張らずに読めるのに、一編一編を読む毎に自分の言語感覚が浄化されて行くのがよくわかる。自分が言語を使う時に否応なくあらわになってしまう尖ったところや凸凹したところを優しくヤスリがけしてもらったような読後感が味わえます。丁寧に成形された平易さの芸術性を堪能しました。<br /><br />ということで物を書いたり読んだりすることが好きだけれども、それらに疲弊してしまった人に強く、強くオススメ。<br /><a name="more"></a>

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<title>『贖罪』</title>
<description>湊かなえさんの『贖罪』を読む。『告白』より先にこちらを読んでしまいました。田舎町である少女が殺される。犯人を見たはずの四人の少女はその顔を覚えていないらしい。その事に対し怒った被害者の母が恨みの言葉を成長した四人の少女たちに投げつける。そして少女たちは、心に贖罪の意識を抱えることとなる…。本全体は6章構成。最初の4章で四人の元少女の独白、次の章が被害者の母の独白、最後の章はエピローグとなっています。章の順番は基本的にその独白がそれぞれの機会でなされた順番と同じなので、すんなり...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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湊かなえさんの<a href="http://www.tsogen.co.jp/shokuzai/" target="_blank">『贖罪』</a>を読む。『告白』より先にこちらを読んでしまいました。<br /><br />田舎町である少女が殺される。犯人を見たはずの四人の少女はその顔を覚えていないらしい。その事に対し怒った被害者の母が恨みの言葉を成長した四人の少女たちに投げつける。そして少女たちは、心に贖罪の意識を抱えることとなる…。<br /><br />本全体は6章構成。最初の4章で四人の元少女の独白、次の章が被害者の母の独白、最後の章はエピローグとなっています。章の順番は基本的にその独白がそれぞれの機会でなされた順番と同じなので、すんなり読めます。ただ、逆に言えばこの作品は「それってどういうこと？」という疑問が気になって読み進める、という感覚が実は少ない小説だ、ともなる。謎が現れるとすぐ答えも現れる（あ、それが謎だったのね）。だから、読んでいる間の感覚は、非常に漠然とした「ええっと、一体どういうこと？」という感覚だけ。頭を使わなくていい小説だと思います。別に悪口ではありませんよ（笑）。本屋対象を湊さんが獲った理由がわかりました、ってことです。<br /><br />あと、『告白』と一緒で独白ばかりなんですが、他のタイプの小説も湊さんは書くのでしょうか。これは『少女』も読んでチェックしてみないと（刊行は『告白』『少女』『贖罪』の順）。<br /><a name="more"></a>

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<dc:date>2009-10-29T20:56:57+09:00</dc:date>
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<title>『独居45』</title>
<description>吉村萬壱さんの『独居45』を読む。吉村さんって人はとにかく奇妙奇天烈な小説を書く人で、この小説もそうです。坂下宙ぅ吉という変人作家が引っ越してきて一人暮らしを始めてから町がえらい騒ぎになってしまうというお話なのですが、この変人作家がいたく下品で、しかも作家的力量が低い。小説全体が乾いて濁った描写に満ちていて不気味でもあるのですが、エピソードが突き抜けてしまっているので、閾値を超えて爆笑してしまう感覚も同時にある。一体この小説をどう読めばいいんだか、っていう感覚に引っ張られてつ...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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<dc:date>2009-10-28T22:21:18+09:00</dc:date>
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吉村萬壱さんの<a href="http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163281803" target="_blank">『独居45』</a>を読む。<br /><br />吉村さんって人はとにかく奇妙奇天烈な小説を書く人で、この小説もそうです。坂下宙ぅ吉という変人作家が引っ越してきて一人暮らしを始めてから町がえらい騒ぎになってしまうというお話なのですが、この変人作家がいたく下品で、しかも作家的力量が低い。<br /><br />小説全体が乾いて濁った描写に満ちていて不気味でもあるのですが、エピソードが突き抜けてしまっているので、閾値を超えて爆笑してしまう感覚も同時にある。一体この小説をどう読めばいいんだか、っていう感覚に引っ張られてついつい最後まで読んでしまう、とても変な小説です。<br /><br />うーん、不思議。でも結構オススメかも。<br /><a name="more"></a>

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<title>『宵山万華鏡』</title>
<description>森見登美彦さんの『宵山万華鏡』を読む。森見さん初の幻想小説ということになるのでしょうか。連作短編のようになっていて、第一短編「宵山姉妹」でのあまりの「笑い」ポイントの少なさにびっくりしたのですが、続く「宵山金魚」と「宵山劇場」でいつものモリミーに出会えた（笑）ので、その後は安心して読めました。第一編は最後の短編「宵山万華鏡」で受けられています。全体に各短編の主人公同士の関係性がいつものモリミー作品よりも少し複雑になっているので、読むときは丁寧にそれらを頭の中で復元していった方...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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<dc:date>2009-10-26T12:11:44+09:00</dc:date>
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森見登美彦さんの<a href="http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-771303-9&mode=1" target="_blank">『宵山万華鏡』</a>を読む。<br /><br />森見さん初の幻想小説ということになるのでしょうか。連作短編のようになっていて、第一短編「宵山姉妹」でのあまりの「笑い」ポイントの少なさにびっくりしたのですが、続く「宵山金魚」と「宵山劇場」でいつものモリミーに出会えた（笑）ので、その後は安心して読めました。第一編は最後の短編「宵山万華鏡」で受けられています。全体に各短編の主人公同士の関係性がいつものモリミー作品よりも少し複雑になっているので、読むときは丁寧にそれらを頭の中で復元していった方がよいかと思います。<br /><br />もちろん僕の一番好きなのは「宵山劇場」。これがモリミーの真骨頂です。この本全体で「宵山」というあの行事をこのように使っているのか、という点も重要ポイント。森見さん、「笑い」の要素で隠れてしまいますが、実は大変なテクニシャンなのであります。オススメ。<br /><a name="more"></a>

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<title>『森に眠る魚』</title>
<description>角田光代さんの『森に眠る魚』を読む。文京区音羽のお受験殺人を題材にした長編小説。生半可な覚悟で読んではいけないが、読まれるべき大傑作です。東京のある街で出会った5人の女たちは、育児の悩みを分かち合う仲良しグループになったものの、些細なすれ違いや裏読みの連鎖によって、互いに殺意を覚えるようになっていく…この関係性崩壊の過程の描き方が実に巧みで、「仲良しだったのに、なんで！？」という読者の側の思いに必然性をもって答える形になっています。僕がこの作品がすごいと思う点は大きく4つ。第...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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<dc:date>2009-10-26T12:10:46+09:00</dc:date>
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角田光代さんの<a href="http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-23649-1.html?c=30197&o=date&type=t&word=森に眠る魚" target="_blank">『森に眠る魚』</a>を読む。文京区音羽のお受験殺人を題材にした長編小説。生半可な覚悟で読んではいけないが、読まれるべき大傑作です。<br /><br />東京のある街で出会った5人の女たちは、育児の悩みを分かち合う仲良しグループになったものの、些細なすれ違いや裏読みの連鎖によって、互いに殺意を覚えるようになっていく…この関係性崩壊の過程の描き方が実に巧みで、「仲良しだったのに、なんで！？」という読者の側の思いに必然性をもって答える形になっています。<br /><br />僕がこの作品がすごいと思う点は大きく4つ。第一に、5人の書き分けがうまい、かつ全体の設定を実に緻密に構築しているため、最終的に「一人をつまはじき」にするのではなく、あの人はあの人が嫌いでという状態が錯綜して仲良しグループ全体が崩壊してしまうという過程をうまく描いているところ。一人をつまはじきにするだけだったら、登場する女は5人もいらないし、女たちの孤独が狂気に向かうリアリティも描ききれないと思う。<br /><br />第二に、女たちの心理描写が巧み。「一喜一憂」という言葉の起伏をもっと極端にしたような、安堵しては不安になり、喜んでは怒ったりという振幅の中で女が追いつめられて行く過程がよく出ている。筆力のない作家だったら絶対ここは単線的に書いちゃうんだよね。そうでないこの作品は、単純な表現で恐縮ですが、読んでいて心をかき乱される。<br /><br />第三に、嫌でも連想せざるを得ないこの疑問、「じゃあ一体誰が誰を殺してこの作品はカタストロフとなるのだ？」という点に関する角田さんの答え方があまりに素晴らしい。第6章ラストのこの箇所、小説だけに許されたテクニックを使って描かれるこのシーンを読む事のできた幸福といったら！今思い出しながら泣いてしまった（ハッピーエンドとか、そういう分かりやすいのを期待しないでね、念のため）。この箇所があるから、第7章が活きてくるんだよね。<br /><br />第四に、タイトルの付け方が絶妙。タイトルと本文の間に広がる空間は、そのままこの小説全体が開く感情の渦巻きの奥行きと重なるのです。身悶えするほどのタイトル力。<br /><br />ということで、強く強くオススメ。<a href="http://horadeverdad.seesaa.net/article/75262103.html" target="_blank">『予定日はジミー・ペイジ』</a>とこの作品が同じ作家によって書かれたなんて…正直、角田さんには恐怖すら覚える。<br /><a name="more"></a>

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<title>『静かにしなさい、でないと』</title>
<description>朝倉かすみさんの『静かにしなさい、でないと』を読む。まずこのタイトルがすばらしいじゃないですか。ちなみに「でないと」どうなるのかはこちら。短編集で、各作品はつながらないし、テイストも多様だし、一体どういうテーマで統一されているんだろうと思いながら読んでいたんですが、今この記事を書くために集英社のホームページを見て納得。そうか、「身の丈に翻弄される人たち」の物語なんだな、これは。そして慧眼な読者のみなさまなら分かる通り、朝倉さんはそういう話を書くのが抜群にうまいのです。もうね、...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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<dc:date>2009-10-26T12:09:14+09:00</dc:date>
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朝倉かすみさんの<a href="http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-771320-6&mode=1" target="_blank">『静かにしなさい、でないと』</a>を読む。<br /><br />まずこのタイトルがすばらしいじゃないですか。ちなみに「でないと」どうなるのかは<a href="http://d.hatena.ne.jp/ASAKURA/20090921" target="_blank">こちら</a>。短編集で、各作品はつながらないし、テイストも多様だし、一体どういうテーマで統一されているんだろうと思いながら読んでいたんですが、今この記事を書くために集英社のホームページを見て納得。そうか、「身の丈に翻弄される人たち」の物語なんだな、これは。<br /><br />そして慧眼な読者のみなさまなら分かる通り、朝倉さんはそういう話を書くのが抜群にうまいのです。もうね、僕はしょっぱなの短編「内海さんの経験」のラストで鳥肌が立ちました。「ブス」な女が昔の同級生と懇ろになるかいなか、って感じになっていく物語なんですが、その終わらせ方の絶妙さと言ったら。読み終えた瞬間、「あ、この本は大当たりだ」って思いましたもん。<br /><br />調子にのって他の作品もさらっと紹介。自分が男にストーカーされているとの確信を盾に転落して行く女を描いた「どう考えても火夫」、優位に立ってやりたい年下の従姉妹が、お見合い後に自分を振った男と付き合い始めるという苦い経験とその顛末を描いた「静かにしなさい」、どん底の状態で一瞬だけ交わってすぐ離れる人生を歩む男女が、上昇の後に邂逅を果たす「いつぞや、中華飯店で」、自己破産してもロハスな生活を送るカップルを描く「素晴らしいわたしたち」、40代半ばにして結婚し、地方へと移住する事になった男女のやわらかいやりとりを描いた「やっこさんがいっぱい」、自宅を襲うネズミとダニの影におびえて行く女を描いた「ちがいますか」。どれをとっても面白くて、堪能しました。<br /><br />ストーリーとしては「いつぞや、中華飯店で」が好みだけれど、描写にある縛りをかけることで実に優れた効果を上げている（なんだこの偉そうな物言いは）「素晴らしいわたしたち」も大好き。ま、全部好きってことですな。<br /><br />おわかりの通り私は大変な朝倉びいきなのですが、その分を割引いても強くオススメです。朝倉作品、文庫化されているものが少ないんですよね…早く全作品文庫化してほしい。<a name="more"></a>

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<title>『花窗玻璃』</title>
<description>深水黎一郎さんの『花窗玻璃』を読む。フランス、ランス大聖堂からの男性の転落死。状況から考えると現場は密室。これは自殺、あるいは殺人か？ この大がかりな謎が解かれることによって、シャガールのステンドグラスと事件全体の構図が重なるという深水さんのいつもの手法が明らかになるという作品です。しかも今回は、カタカナ語を全て漢字表記（花窗玻璃で「ステンドグラス」とルビとか）にした作中作を入れ込むという点で、文章そのものの仕掛け性も高くなっています。構図の重なりについては深水さんは作中では...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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<dc:date>2009-10-26T12:07:52+09:00</dc:date>
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深水黎一郎さんの<a href="http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-novels/0909/special/" target="_blank">『花窗玻璃』</a>を読む。<br /><br />フランス、ランス大聖堂からの男性の転落死。状況から考えると現場は密室。これは自殺、あるいは殺人か？　この大がかりな謎が解かれることによって、シャガールのステンドグラスと事件全体の構図が重なるという深水さんのいつもの手法が明らかになるという作品です。しかも今回は、カタカナ語を全て漢字表記（花窗玻璃で「ステンドグラス」とルビとか）にした作中作を入れ込むという点で、文章そのものの仕掛け性も高くなっています。構図の重なりについては深水さんは作中では一切触れないでそれに気づくか読者を試すので、そこに気づけるかどうかがこの作品をどう評価するかのポイントですね。その割には、「本格ミステリ論」っぽいこととか、深水作品を浅く読む読者への当てこすりはかなり直接的に登場人物に語らせたりするわけですが。この「自分のやっていることを自分で説明しちゃう」感じ、僕の感覚ではアカデミアの人間に特有なことのような気がします。「本格ミステリ」的、と言ってもいいんだけど、その言及の仕方が小説的ではないので、やはり少しそれとは違う気がする。<br /><br />ただ、この漢字表記の文章、いわゆる現代的な日本語のカタカナの部分だけを漢字表記にしたものなので、ちょっと読みにくい。そのことの必然性が事件の謎とも絡むのですが、その必然性（というか、効果）を高めるためには文体そのものももっとペダンティックにした方がよいわけで、なぜそうしなかったのかが気になります。僕の読み込みが浅いのかもしれませんが。<br /><br />あとね、作中のかなり早い段階でこういう文章が出てくるんです。些末なことかもしれませんが、僕、こういう事を書く人って絶対信用できないんだよなあ。深水ファンの方々ごめんなさい。今後も深水作品はチェックしますから、許して。<br /><br /><blockquote>狐につままれたような気持ちで男に近寄ったマルタン刑事だが、すぐにその息の臭さに辟易して思わず後ずさりした。安酒のアルコールの熟柿のような臭いに、多分内臓かどこか悪いのだろう、魚を腐らせて作る東南アジアの調味料のような臭いが混じっている。(p.12)</blockquote><br /><br />渡辺淳一『鈍感力』にもあったよね、こんな描写。しかもこの後の作中作で、ある登場人物が出てくる（フランス）料理に対して細かくケチをつけたりするんですよね…。うーん。<br /><a name="more"></a>

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<title>『潰玉』</title>
<description>墨谷渉さんの『潰玉』を読む。第140回芥川賞候補作である表題作と「歓び組合」の2編が収録されている本です。「潰玉」は文字通り睾丸をつぶされる話（笑）。結婚を考えた恋人がいるにもかかわらず、屈強な女に金的蹴りをされることが無上の喜びとなった男の物語。「歓び組合」はトップ女子アスリートを二人呼んで行わされる本気のキャットファイトを題材にした物語。まあ「潰玉」を読んでいる間は、そりゃあ内股になりましたよ（苦笑）。描写を丁寧に追うのが相当辛かったです。よくこういうテーマばかりを続けて...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
<dc:creator>△</dc:creator>
<dc:date>2009-10-21T18:30:35+09:00</dc:date>
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墨谷渉さんの<a href="http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163284903" target="_blank">『潰玉』</a>を読む。第140回芥川賞候補作である表題作と「歓び組合」の2編が収録されている本です。<br /><br />「潰玉」は文字通り睾丸をつぶされる話（笑）。結婚を考えた恋人がいるにもかかわらず、屈強な女に金的蹴りをされることが無上の喜びとなった男の物語。「歓び組合」はトップ女子アスリートを二人呼んで行わされる本気のキャットファイトを題材にした物語。<br /><br />まあ「潰玉」を読んでいる間は、そりゃあ内股になりましたよ（苦笑）。描写を丁寧に追うのが相当辛かったです。よくこういうテーマばかりを続けて書けますね、墨谷さん。怖いです。でもこれで芥川賞はやっぱり獲れないよね…（苦笑）。<br /><a name="more"></a>

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<title>『探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」』</title>
<description>古野まほろさんの『探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」』を読む。探偵小説シリーズの第4作です。しかしこのシリーズ名、ど真ん中直球ですね（笑）。かるた名人あかねらが迷い込んだ廃校に住んでいたのは吸血鬼の「一族」。殺人外（＝吸血鬼）事件の発生により、彼女たちは閉じ込められ、あかねは吸血鬼に噛まれてしまいます。あと2回噛まれたらあかねはもう人間に戻れない…主が指定したリミットまでに陰陽師のコモは真相を暴き出す事ができるのか？こう書くと奇想天外なライトミステリっぽいんですが、と...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
<dc:creator>△</dc:creator>
<dc:date>2009-10-19T10:04:47+09:00</dc:date>
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古野まほろさんの<a href="http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1826697" target="_blank">『探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」』</a>を読む。探偵小説シリーズの第4作です。しかしこのシリーズ名、ど真ん中直球ですね（笑）。<br /><br />かるた名人あかねらが迷い込んだ廃校に住んでいたのは吸血鬼の「一族」。殺人外（＝吸血鬼）事件の発生により、彼女たちは閉じ込められ、あかねは吸血鬼に噛まれてしまいます。あと2回噛まれたらあかねはもう人間に戻れない…主が指定したリミットまでに陰陽師のコモは真相を暴き出す事ができるのか？<br /><br />こう書くと奇想天外なライトミステリっぽいんですが、ところがどっこい、これがまごうことなき本格ミステリなのです（今更力説するまでもないですけど）。軽妙な文体の中に大量にばらまかれた伏線が一つ残らず回収され尽くして論理的で美しい解答に収斂して行く解決編は圧巻です。「この記述、必要かなあ？」と思うところは全て伏線だって、わかってはいるんですけど毎回驚かされてしまう。最終的な事件の構図がちゃんと「金剋木」になっているところもすごい。この縛りの中で本格できちゃうんだから、古野さんはただものではない。<br /><br />ということで大変オススメなのですが、一つ気になった事が。ネットで調べたんですが、古野作品、一冊も文庫化されてないんですね。信じられない。こんな面白い作品群が文庫で読めないなんて…。一刻も早い文庫化を希望します。<br /><a name="more"></a>

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<title>『story seller』</title>
<description>アンソロジー『story seller』を読む。近年主流になってきた、アンソロジーを（書籍にする際に）最初から文庫で刊行するタイプの書籍です。安くて軽いから、これは素直によいことですね。このアンソロジー自体は小説新潮別冊のまるごと文庫化みたいです。一つ一つの短編、気合いの入った書きっぷりで、全部読み通すのにかなり時間がかかりました。せっかくなので全ての短編について書きます。「首折り男の周辺」伊坂幸太郎タイトル通り首を折る殺害方法をとる男の周囲の人々を描いた小説。夫婦、犯人そっ...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
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<dc:date>2009-10-17T09:19:39+09:00</dc:date>
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アンソロジー<a href="http://www.shinchosha.co.jp/book/136671/" target="_blank">『story seller』</a>を読む。近年主流になってきた、アンソロジーを（書籍にする際に）最初から文庫で刊行するタイプの書籍です。安くて軽いから、これは素直によいことですね。このアンソロジー自体は小説新潮別冊のまるごと文庫化みたいです。<br /><br />一つ一つの短編、気合いの入った書きっぷりで、全部読み通すのにかなり時間がかかりました。せっかくなので全ての短編について書きます。<br /><br />「首折り男の周辺」伊坂幸太郎<br />タイトル通り首を折る殺害方法をとる男の周囲の人々を描いた小説。夫婦、犯人そっくりの男、少年をめぐる3つのセクションがそれぞれ絡み合ってラストに流れて行くさまは圧巻。そしてこのラスト一行！あれがこうなってこうなって、そこに着地するのか！という心地よい驚きに満ちています。やっぱりうまいです、伊坂さん。<br /><br />「プロトンの中の孤独」近藤史恵<br />自転車のロードレースを題材にしてアスリート二人の交流を描いた物語。素直に面白かった。個人プレーvs.チームプレーって、王道ですよね。<br /><br />「ストーリー・セラー」有川浩<br />不治の病に冒された元人気作家の妻を見守る夫の視点から書かれた小説。結構重いテーマ（家族の老いとか）を書く人なんですね、有川さんって。臆面もなくライトノベル的な恋愛の描写が受け入れられる人なら面白いと感じるだろうな。<br /><br />「玉野五十鈴の誉れ」米澤穂信<br />これもしてやられた作品。玉野五十鈴とは、視点人物小栗純香専用の使用人。五十鈴と普通の友達になりたい純香は、権力者である祖母の一言でせっかく仲良くなった五十鈴から引き離され、食事すら与えられなくなります。しかし、というお話。仲の良い頃のあるエピソードがラストに伏線として効いてくるのが心憎い。ちゃんと米澤作品、読むべきかも。<br /><br />「333のテッペン」佐藤友哉<br />友哉たんはミステリが好きなんだか嫌いなんだかよくわかりません。東京タワーのてっぺんで人が殺されて、その謎を探偵が収束させるお話。解決、じゃあないんですよねえ。友哉たんの作品、ものによってはすごい好きなのだが、時々よくわからなくなることがある（笑）。小説愛は感じるんだけど。<br /><br />「光の箱」道尾秀介<br />　サンタクロースをめぐる絵本と、辛い経験を共有した中学生の物語の構図がシンクロしていく、道尾さんのテクニシャンとしての一面が遺憾なく発揮された作品。このハッピーエンドには心が救われます。そのことを言った上で全然関係ない話として書いてみたいのだが、イマドキの小説に子供を出す時にはかならず「家庭に問題がある」かいじめを受けていなければならないのだろうか。<br /><br />「ここじゃない場所」本多孝好<br />カタルシスのない『陽気なギャングが地球を回す』みたいな話。特殊能力っぽいものを持った集団が出てくるんだけれど、彼ら彼女らが活躍する、というわけでもなく。その中の一人が気になって仕方ない少女の物語になっています。きっとこの集団の活躍を描く続編があるんだと思う。最後はなぜか恋愛小説っぽくなってますが…単独では評価しにくい作品。<br /><br />ということで、一つ一つ楽しく読ませていただきました。第2弾もすでに出版されているので、そちらも読みます。オススメ。<br /><a name="more"></a>

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<title>『ともしびマーケット』</title>
<description>朝倉かすみさんの『ともしびマーケット』を読む。北海道のある街にあるスーパーマーケット、ともしびマーケット鳥居前店にやってくる人々を主人公にした連作短編集。もう大絶賛なんですが、そのポイントをいくつか挙げてみようと思います。1)タイトルがうまい。全体に「心温まるいい話」なんだけれど、そのような言葉を地の文で朝倉さんは使わず、ただひたすら描写で示すだけ。自分の書きたいテーマをそのまま言葉として出してしまうつまらない作家がいる中で、朝倉さんのこのテクニシャンぶりは際立っています。そ...</description>
<dc:subject>もじにいりびたる</dc:subject>
<dc:creator>△</dc:creator>
<dc:date>2009-10-12T11:56:16+09:00</dc:date>
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朝倉かすみさんの<a href="http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2156288" target="_blank">『ともしびマーケット』</a>を読む。<br /><br />北海道のある街にあるスーパーマーケット、ともしびマーケット鳥居前店にやってくる人々を主人公にした連作短編集。もう大絶賛なんですが、そのポイントをいくつか挙げてみようと思います。<br /><br />1)タイトルがうまい。<br />全体に「心温まるいい話」なんだけれど、そのような言葉を地の文で朝倉さんは使わず、ただひたすら描写で示すだけ。自分の書きたいテーマをそのまま言葉として出してしまうつまらない作家がいる中で、朝倉さんのこのテクニシャンぶりは際立っています。そして、そう考えてみると、「ともしび」という語彙の選択は100点満点なんですよ。「希望」とか「幸福」のそのものではないんだけれど、それを表す語彙としてこれ以上にぴったりくるものはない。<br /><br />2)主人公たちが多様。<br />これまでの作品だと、長編ではもちろん主人公が固定しているし、短編集でも例えば「OL」みたいに、わりと属性の似た人が各編の主人公だったんですが、今回は子供から老人まで、性別もバラバラ、仕事もバラバラの人たちが各編の主人公。文体もそれにしたがって少しずつ変化がつけてあって、次の短編ではどうなるんだろう、とわくわくしながら読み進められます。<br /><br />3)各短編のつなげ方が上品。<br />同じ場所が舞台ですから、登場人物たちは少しずつ接点を持っています。そのつながりの書き方があざとくなくて上品。かといって、一生懸命気にして読まないとわからないような隠し方もしていない。読み進めるごとに自分もともしびマーケット鳥居前店のある街に住んでいるような気になってきます。<br /><br />4)にもかかわらず、驚きの大団円。<br />連作短編集の肝はもちろん最後の短編です。ここで全体の話をどうまとめてゴールテープを切るかが大事なんですが、朝倉さんはあっと驚く大団円を用意します。まさかこんなに王道のやり方で勝負してくるとは…。ネタばらしというほどではないんですが、どうしても自分で読んでこの幸福を味わって欲しいので、ここでは黙っておきます。にもかかわらずハッピーエンドの最後の最後は書かない禁欲さも朝倉さんは持ち合わせているので、ここでもあざとくないんだなあ。<br /><br />どんな話かに一切触れずに褒めてみました。各編で言うとね、僕は「ピッタ・パット」が好き。ここでも最後の最後のあれは言わないんだよ。ここを書いちゃうアホ作家と朝倉さんは違うんだよ。ああもう、すごいです。大絶賛。<br /><a name="more"></a>

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<title>『20世紀の作曲』</title>
<description>ヴァルター・ギーゼラー著、佐野光司さん訳の『20世紀の作曲 現代音楽の理論的展望』を読む。大学の図書館で借りたんですけどね。実は昔にも読んだことがあって、その時は奇妙な譜面萌え！という程度の浅い読み方しかできず、リベンジしようと思ってこの度また手に取りました。アマゾンでは中古品が3万もするようです（定価は5600円）。図書館ってすばらしい。いわゆるクラシック音楽から、20世紀の現代音楽がどのように離れて行ったのかを、素材、構造、形式の主に三つの側面から実例を挙げつつ論じた本で...</description>
<dc:subject>みみをすます</dc:subject>
<dc:creator>△</dc:creator>
<dc:date>2009-10-12T11:55:44+09:00</dc:date>
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ヴァルター・ギーゼラー著、佐野光司さん訳の<a href="http://www.amazon.co.jp/20世紀の作曲―現代音楽の理論的展望-ヴァルター-ギーゼラー/dp/4276132401/" target="_blank">『20世紀の作曲　現代音楽の理論的展望』</a>を読む。大学の図書館で借りたんですけどね。実は昔にも読んだことがあって、その時は奇妙な譜面萌え！という程度の浅い読み方しかできず、リベンジしようと思ってこの度また手に取りました。アマゾンでは中古品が3万もするようです（定価は5600円）。図書館ってすばらしい。<br /><br />いわゆるクラシック音楽から、20世紀の現代音楽がどのように離れて行ったのかを、素材、構造、形式の主に三つの側面から実例を挙げつつ論じた本です。素材は分かりやすいでしょうか。音高（下位分類として音階とか微分音とか）、音価、音色、強度ですね。ま、十二音技法からトータルセリアリズムへの流れです。構造は、いわゆる「ソナタ形式」とか「ポリフォニー」とかそういう、音楽の骨格をなすカタチのことですね。点描とか群作法とか、「再現部」の拒否とか。<br /><br />で、この本で言う「構造」って、僕らが通常言うところの「形式」ですよね。でもこの本では、形式には別の意味が与えられています。聴取者が「あ、この音楽ってこういうもんなんだ」とわかる、その分かり方の枠組みの方に形式という言葉を当てているのです（カントが引用されてます）。著者は、構造と形式を分けてその両方を論じることで、現代音楽の聴き方がわからない聴衆を置いて行かない、という決意表明をしているようにも見えます。ただ、この本自体はかなり歯ごたえがあって、当の現代音楽以上に読者を置いて行ってる気もしますが（笑）。<br /><br />ということで、楽理好きにはたまらない本でした。シュトックハウゼンを非常に強く推す記述が多く、全体としてシュトックハウゼンには辟易、という評価が下されがちな現代からすると苦笑を禁じ得ないところが驚きだったのですが、原著刊行が1977年、訳書刊行が1988年とわかり納得。時代のスターだったわけね、シュトックハウゼン。<br /><br />オススメなんですが、絶版本なので…図書館を探してみてください。<br /><a name="more"></a>

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